最初のページ  お線香の作方  お線香の原料 

仏教伝来とともに、現在でも線香の原料として使用されている「沈香」「白檀」「丁字」「麝香」などの香木、香料が日本に伝わりました。平安時代にはそれらの香木を調合して『薫物』(たきもの)として確立されました。
当時の宮中では
@衣服につける「衣香」(えこう)
A室内香として使う「空薫物」(そらだきもの)
B仏事に使う「名香」(みょうごう)
の三つの薫物に分かれていました。
また『六種の薫物』(むくさのたきもの)といって、春は「梅花」(ばいか)、夏は「荷葉」(かよう)、秋は「侍従」(じじゅう)、秋または冬に「菊花」(きっか)、「落葉」(おちば)、冬は「黒方」(くろぼう)というように、四季それぞれにイメージされた香を使い分け、さらに各個人の香り、各家秘伝の香りを当時の宮中の貴人は持っていたようです。
例えば、
「梅花」 四条大納言
沈香八両二分、甲香三両二分三、甘松一分五、白檀二分三朱四、丁字二両二分二、麝香二分、薫陸一分六

「黒方」 閑院大臣
沈香四両、丁字二両、白檀一分、甲香一両二分、麝香二分、薫陸一分

 
というように、沈香を中心に香木を調合し(現在でも高級線香は沈香をベースに香りを組み立てている)、時と場所と人に合わせて香りを使い分けていたことが「源氏物語」などからもうかがえます。このようなことから考えると、当時の人々の感性や文化はかなり高かったように思われます。
室町時代では『六国五味』という沈香の分類基準を設けて「香道」が確立し、天正年間(16世紀)には中国から線香の製法が伝えられました。
『六国五味』(りっこくごみ)の六国とは別名「木所」(きどころ)とも呼ばれ「伽羅」(きゃら)「羅国」(らこく)「真南蛮」(まなばん)「真那賀」(まなか)「寸門多羅」(すもんたら)「佐曽羅」(さそら)の6種のことを言い、主に香木の産地を表しているとされています。羅国はタイ(シャム)、真南蛮はインドのマラバル地方、真那賀はマレーシア(マラッカ)、寸門多羅はインドネシア(スマトラ)佐曽羅はインド(サッソール)。ただ伽羅はインドのサンスクリット語で「カーラ・アグル」黒いという言葉からきています。
五味は「辛」(しん・辛い)、「甘」(かん・甘い)、「苦」(く・苦い)、「酸」(さく・酸っぱい)、「鹹」(かく・塩辛い)の5つの味で、香の特徴を表しています。
その後、時代の流れとともに平安時代の「衣香」は香水やオーデコロンへと変化し、「空薫物」はポプリや各種芳香剤へと移行しました。さらに最近ではオフィスの空調システムからシトラスグリーンやラベンダー等の香りを流すことも始められています。残りの「名香」においても原料は同じながらも調合法は変化してきています。


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